特定非営利活動法人 陸前高田市学童保育協会 様

陸前高田が持続可能なまちとして生き続けるためには、しみんエネルギーのような取り組みが欠かせない。 ぜひ頑張ってほしいですね

陸前高田市竹駒町に事務所を構え、市内で8つの学童クラブを運営する「特定非営利活動法人 陸前高田市学童保育協会」。
2023年3月の設立以来、市内6つの小学校区にある学童クラブを統合的に運営し、放課後の子どもたちに安心できる居場所を提供しています。

単なる「預かりの場」ではなく、異年齢の子どもたちが関わり合いながら成長していける“生活の場”としての環境づくりを大切にしているのが特徴です。

市内の学童保育はもともと、保護者会がそれぞれ独自に運営してきました。指導員の雇用や補助金申請など、保護者の負担は大きく、「みんなで協力して運営できる仕組みをつくろう」という声から法人化が実現しました。
現在は保護者もNPOの会員として参画し、地域ぐるみで子どもたちを見守る体制が築かれています。

インタビュイー:理事長 阿部 勝さん

地域の想いから生まれた、学童保育のはじまり

阿部さんが学童保育と関わり始めたのは約30年前。
「当時は学童なんてどこにもなくてね。子どもを“鍵っ子”にするか、親が仕事を辞めるかしか選択肢がなかったんです」と当時を振り返ります。

保護者としての切実な想いから、岩手県の学童保育連絡協議会に相談し、同じ想いをもつ保護者と協力しながら、手探りで立ち上げたのが「やどかり学童クラブ」。
その活動は米崎や広田などにも広がり、地域に少しずつ「放課後の居場所」が根付いていきました。

東日本大震災のあと、被災によって家庭環境が大きく変わり、仮設住宅で暮らす世帯が増える中、「やっぱり学童保育が必要だ」という声が一段と高まりました。
その経験を経て、2023年に法人が誕生。阿部さんは「保護者が安心して働けるように、そして子どもが自分の居場所を持てるように」との思いを胸に、今も現場の声に耳を傾け続けています。

「やどかり学童クラブを立ち上げた頃は制度も整っていなくて、まさに“えいやっ”で始めたようなもの。でも地域の協力と情熱があったから、ここまで続けられたんです」と笑顔で話してくれました。

心を通わせる保育を大切に

阿部さんが大事にしているのは、「学童保育は生活の場である」という考え方。
「ただ安全に見守るだけじゃなくて、生活の中で人との関わり方や社会のルールを学ぶ場。それが学童保育なんです」と語ります。

異年齢の子どもたちが共に遊び、時にはけんかをしながら、自分の思いを伝え、折り合いをつけていく。そうした日常の積み重ねが、子どもの成長につながります。

また、すべての子どもの「権利」を尊重することを何よりも大切にしています。個性も背景も異なる子どもたちが、それぞれのペースで成長できるよう、日々の保育に丁寧に向き合っています。

そのために欠かせないのが指導員の力。協会では年間10回以上の研修を受講し、専門性と実践力の向上に取り組んでいます。
「子どもと接するうえで大切なのは、資格よりも“人としての力”。信頼を得るには心が通じる関係が必要なんです」と阿部さんは話します。

学童保育では「先生」ではなく、ニックネームや“さん付け”で呼び合うのも特徴です。信頼関係を築きながら、子どもたちが自分らしく安心して過ごせる空間をつくっています。

親と子、そして地域をつなぐ学童保育のこれから

コロナ禍を経て、保護者同士のつながりが薄くなってしまったことを阿部さんは気にかけています。
「昔は親同士が集まって話すのが当たり前だったけど、今は顔を合わせる機会が減ってしまいました。子どもたちが仲良く過ごすためにも、親同士の関わりはとても大事なんですよね」と語ります。

現在、各クラブでは親子行事を少しずつ再開し、無理なく関われる仕組みを整えています。
「行事を通して親同士の絆が深まると、学童保育の雰囲気もぐっと良くなる。保護者が楽しみながら関わることが、子どもにとっても大きな安心につながるんです」。

また、卒所した子どもの中には「学童の指導員になりたい」と言ってくれる子も出てきています。
「学童で過ごした時間が、その子の人生の支えになっているんだと思うと、本当に嬉しいですね。そんな場所をこれからも守り続けたいです」と穏やかに話してくれました。

しみんエネルギーと契約いただいた経緯

阿部さんは市役所勤務時代、地域振興部で地域経済循環の取り組みに携わってきました。
「地域が持続するには、地元のお金が地元で回る仕組みが欠かせません。電力のような分野は特に地域外への流出が大きく、それを防ぐ仕組みが必要なんですよね」と語ります。

しみんエネルギーの取り組みは、まさにその理念を体現するもの。
「エネルギー費用を地域内で循環させるという考えに深く共感しました。地域が自立していくうえで、こうした地元主導の動きはとても大切だと思います」と阿部さんは話します。

最後に…しみんエネルギーへエールをお願いします

「エネルギーって目に見えないから、市民に理解してもらうのは簡単ではないと思うんです。でも、陸前高田が持続可能なまちとして生き続けるためには、しみんエネルギーのような取り組みが欠かせない。ぜひ頑張ってほしいですね」。

阿部さんは、かつて市の復興担当として都市計画にも携わり、現在もまちづくり会社の役員として地域の未来を支え続けています。
「高田に生まれ育った子どもたちが、いつか“このまちで育ってよかった”と思ってくれたら、それが一番の喜びです」と穏やかに微笑みました。

子どもたちの成長を支える学童保育と、地域の未来を照らすしみんエネルギー。
その二つが寄り添いながら、陸前高田のまちはこれからもゆっくりと、力強く歩み続けていきます。

施設情報
陸前高田市竹駒町字滝の里131番地3
TEL:0192-47-5510
営業時間 9:00~18:00(定休日 毎週土日)